女性ホルモンと歯周病の関係
2025年02月14日
皆さま、こんにちは☀️
歯科衛生士の田中です。
今日は女性ホルモンと歯周病の関係についてお話していきます!
歯周病は、誰にでも起こる可能性のある病気です。しかし、その歯周病に男女でかかりやすさに差があることをご存じですか?この差の原因は「女性ホルモンの変化」によるものです。
女性ホルモンは、特定の歯周病菌の増殖や歯周組織の炎症を悪化させることがすでに分かっています。今回は、女性ホルモンバランスの変化が招く「歯周病のリスク」についてご紹介します。
【思春期】(11〜18歳)
[女性ホルモンが増え始める]
思春期になると、女性ホルモンの分泌が増え始めます。エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの増加により、歯ぐきの血流量が増え代謝が活発になります。これにより歯垢などの刺激物に反応しやすく、歯周病にかかりやすい状態となるのです。
また、人間関係や進学などによる環境の変化や、テスト勉強の睡眠不足などでストレスを抱え始める人が増えるのも思春期の特徴です。ストレスは、免疫力を低下させ口腔環境の悪化にもつながります。忙しい時期ではありますが、歯科検診は定期的に受け、異常を感じたら早めに受診するよう心がけましょう。
思春期は、永久歯への生え変わりが完了する時期です。生え変わりの時期に歯のトラブルが起こると、これからずっと使っていく永久歯に影響が出る可能性があります。生え変わったばかりの繊細な永久歯であれば、ダメージを受けるリスクは高まります。まだ若い思春期の子どもに「歯周病」のリスクを感じる人は少ないかもしれませんが、この時期の口腔ケアの重要性も理解しておきましょう。
【妊娠・出産】
[女性ホルモンの分泌はピーク]
妊娠すると、女性ホルモンは急激に増加します。また、唾液の分泌量が減るのも妊娠期の特徴です。
● 女性ホルモンの増加
→歯ぐきは腫れやすい敏感な状態に
● 唾液の減少
→唾液が汚れを流してくれる作用(自浄作用)が低下
● 妊娠中のつわり
→気持ち悪さで十分に歯磨きやうがいができない
このような体の変化から、妊娠中から出産にかけては口腔環境が悪化しやすく、歯周病リスクが非常に高い状態とされています。
また妊娠期に歯周病になると、早産や未熟児・低出生体重児となるリスクが高まるといったデータもあります。セルフケアもしっかりと行いつつ、歯医者さんに定期的にメインテナンスに通い、赤ちゃんのためにも歯周病対策を行いましょう。
【更年期】(45〜55歳)
[女性ホルモンは徐々に低下]
更年期になると、女性ホルモンの分泌は低下します。女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、骨密度の低下を防ぐ大切なホルモンです。このエストロゲンの減少により骨密度が低下すると、骨折を起こしやすい状態になります。
その影響は、口腔内にも及びます。骨密度の低下によりあごの骨が衰えると、歯槽骨という歯を支える骨ももろくなります。歯の支えが弱いと、歯がぐらつき抜けやすい状態となるのです。
また更年期は女性ホルモンの急激な低下により、ホルモンバランスが乱れやすいのをご存じの方も多いでしょう。このホルモンバランスの乱れは唾液の分泌量低下、すなわちドライマウスを引き起こします。唾液の分泌量が減ると、口腔内の自浄作用も低下し歯周病リスクが高まるため、更年期は特にマウスケアへの高い意識が必要となります。
ホルモンバランスの変化は、絶対に避けることができません。思春期・妊娠~出産期・更年期と変化が著しく、特にマウスケアの必要性を自覚しておくことが大切です。ブラッシングやフロスなどによるセルフケアと、プロによる定期的な歯科検診を基本として、歯周病予防を行っていきましょう。
気になることがあればお気軽に歯科医師・歯科衛生士へお声がけ下さい😊