2021年06月28日
こんにちは、歯科医師の飯田です。
今日は妊娠による口腔内の変化についてお話しさせて頂きます。
ところで、みなさんは生まれてくる赤ちゃんの口の中にはむし歯菌がいないことを知っていますか?
生まれた時にはいないむし歯菌がいつの間にか存在している・・・・、ではいつむし歯菌がお口の中に現れるのか、お母さんの口の中の変化を知った上でお話しさせていただきます。
まず初めに妊娠中のお口の中の変化として、嘔吐をともなうつわりや嗜好の変化などにより、お口の中が酸性に傾き、歯のエナメル質(歯の表面で一番硬いもの)が弱くなる可能性があります。その他、食事の回数が増えたり不規則になることで、口腔内環境は悪くなります。
さらに、妊娠中になると女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが血中で上昇し、唾液や歯茎の溝から出てくる組織液により口腔内の中における女性ホルモンも上昇し、種類によっては妊娠していない時の10〜1000倍にも増えます。そして、歯周病菌の中には女性ホルモンを栄養源とするものもあり、歯周病リスクが一段と高まります。なかでも”Prevotella intermedia”と呼ばれる細菌は、エストロゲンとプロゲステロンを栄養素としており妊娠中に爆発的に増えることから、妊娠関連性歯肉炎・妊娠関連性歯周炎で高頻度に検出される菌として知られています。
次に、歯周病の炎症があると、子宮を収縮させる作用がある物質(PGE2、炎症性サイトカイン)の血中濃度が高まります。特にPGE2は、陣痛促進剤として使用されるほど子宮収縮作用が強いため、歯周病の重症化により早産や低体重児出産の可能性が高くなります。しかし、妊娠中でも徹底的に歯周病の治療をすれば必ず炎症を最小限に抑えることもできますし、これらのリスクを軽減できることにもなります。さらに妊娠関連性歯肉炎や妊娠関連性歯周炎は、日頃からのプラークコントロール(歯垢の管理)が行き届いている人には起こりません。妊娠前から口腔内にプラーク(歯の表面に付いているネバネバした細菌の塊)があり、軽度の歯周病に罹患している人が妊娠関連性歯肉炎や妊娠関連性歯周炎を引き起こすのです。日頃のお口の中のお掃除が大切ということになります。
妊娠中の口腔内のケアには、ご自身でできることと、歯科医院でできることがあります。まずご自身でできることは、無理せずできる範囲でのケアです。妊娠すると食生活が不規則になり口腔内の環境が悪化しやすくなり、唾液の変化、体調の変化、つわりなどにもより、いつも通りのブラッシングができなくなります。なので、ブラッシングは気分がいい時に行いましょう。気分がいい時にブラッシングができるように、いつもの行動範囲の手に届く範囲に歯ブラシを置いておくとよいです。さらにキシリトールガムやタブレットを摂取することで、プラークの粘着性を低くしたり、唾液の分泌を増やして歯の再石灰化を促進してくれます。食後すぐに水で強めにブクブクうがいをするだけでも、食べかすをより取り除けます。歯ブラシを頭の小さいものや一束のものにして、磨きやすくするのも効果的です。
歯科医院でできることは、セルフケアを邪魔するような歯石の除去や歯面の清掃により歯を滑沢にして、適切なブラッシングの仕方を教えることです。歯石の除去などの処置は妊娠安定期(16〜27週)に行うのがよいとされています。
ではここで最初の疑問に戻ってみます。赤ちゃんのお口の中にむし歯菌が存在し始めるのはいつなのでしょう。それは奥歯が生えてくる1歳6ヶ月頃に周囲の大人の唾液を通して感染します。なので周囲の大人の方々、特にお母さんのむし歯菌の量によって子供のむし歯菌の量が決まります。子供のむし歯になるリスクを減らすためにはお母さんのむし歯菌を減らして子供に伝播させないことが大切です。まずはご自身のむし歯菌の数を測ってみてはいかがですか?
2021年06月24日
こんにちは!Dr.の蔡です。
今回は妊娠中の歯科治療について話したいと思います。
治療を行う際に、「妊娠中なのですが、大丈夫ですか?」「麻酔、薬などを使用して子供に影響ありますか?」などの質問をよく受けます。
妊娠中はお腹の子供への影響を考え、歯科治療を受けることに慎重になってしまうことが多いようです。
結論から話すと
✴︎妊娠中でも歯科治療は可能です!
一般的には妊娠中期である安定期(妊娠14週〜27週)に治療をすることが望ましく、通常の歯科治療であれば問題なく行えます。
また妊娠初期、後期であっても対応できることも多いので、心配な時は早めに受診をして下さい。
✴︎レントゲンや麻酔を使用しても大丈夫?
このことは多くの妊婦さんが1番心配していることだと思います。
歯科で使用するレントゲンは、防護エプロンを着用しお腹から離れた所を撮影します。
放射線量も普通に生活して1年間で浴びる自然放射線量と比べて1/150〜1/50となっており、胎児への影響はほとんどありません。
治療をする際に必要があれば麻酔も併用しますが、歯科用麻酔は局所的に効果が出る麻酔で(麻酔をして治療の経験がある方は一部分だけが痺れてる感覚が分かると思います。)
その麻酔が胎盤を超えて胎児にうつることはありません。
✴︎妊娠中の歯科治療の注意点
基本的には安心、安全で治療を受けれますが注意点もあります。
・妊娠している事を医師に伝えましょう。
・母子手帳を持参しましょう。
・体調が悪い時には無理をしないようにしましょう。
当院では不安な事があれば話せるよう、問診の時間を長めにとっています。先生に言いにくい事もスタッフに気軽に相談して下さい。
✴︎上の子供がいて治療になかなか行けない
2人目以降の出産でお子様がいる方でも安心して治療が受けられるよう、保育士のスタッフが常駐しており、お子様のお預かりもしております。ご希望の方は事前に相談して下さい。
また当院の向かいには子供治療専門の医院を設けてあります。お子様と一緒に治療を受ける事も可能です。
https://www.funabashi-kodomo-dc.com/
次回は、実は治療よりも大切な妊娠中のお口の状態について話します。
ぜひ楽しみにしていて下さい(^^)
2021年06月14日
2021/06/12
こんにちはっ!歯科助手の幾田です😆
今回は当院のコロナ対策について幾つか紹介します‼︎
◎朝の検温
私たちは朝出勤したら必ず、検温表に今日の体温と、酸素測定器で測った血液中の酸素濃度を書きます。
少しでも熱があるスタッフには休むように指示しております。
◎患者さん毎の診査器具や切削器具の消毒、滅菌。
ユニットや診察室の消毒も徹底して行っています。
- ユニットは患者さん毎の消毒を行い常に消毒された状態で、患者さんをご案内しています✨
◎診療あるいはアシスタントにあたる場合はゴーグルや眼鏡の着用。
マスク、グローブ、ゴーグル等を着用し、スタッフ一丸となり感染予防をしています。
◎予約制にしているため待合室が密になることを防ぐ事ができます。
🌷少しでも安心して通院して頂けるよう、感染対策は日々見直していきます。
2021年06月7日
みなさん、初めまして😊! 歯科技工士の川村です👩🔧🦷
早いもので今年も折り返し地点の頃となりました。
今回は、【埋伏智歯】についてお話していきたいと思います。
🔸智歯とは…歯科用語で「親知らず」
そして「8番」(前から8番目の歯)とも呼ばれています。おおむね10代後半~20代前半に生えてくるのですが、すべての方が上下左右に4本生えてくるわけではなく、上だけ、下だけ揃わない場合もあるほか、おおむね4人に1人の割合でまったく生えてこない方もいらっしゃいます。仮に生えていたとしても、綺麗に並んでいるケースは数少なく、歯肉に埋もれていたり、斜めに生えているケースが大半を占めています。
ではなぜ、生えている人と生えていない人がいるのか…?
そこには諸説ですが、理由があります。
🔸諸説あり!親知らずの退化😏🍖
太古の昔、ヒトもかつては親知らずが正常に生えていた頃があります。大昔のヒトの食生活は、「煮る」、「焼く」などの調理技術が乏しく、木の実や生肉など硬いものをそのままワイルドにかじっては、よく噛んで食べる習慣が一般的でした。硬いものをガリガリと噛み砕く力を得るために顎が大きく発達し、親知らずの生えるスペースが出来ていた為、正常に生え揃いやすい状況でした。しかし、時代が経つにつれ、食べ物を美味しく調理することを覚え、柔らかく調理する技術や栄養状態の改善、住民移動や西洋食の分化が進み、現代人の顎がそこまで大きくならなかった理由は、なんでも食べれること自体が顎を小さく退化させていった説があります。長い長い年月を経て、骨格の変化で顎が小さくなった結果、親知らずの生えるスペースが狭くなり、正常にはえてこない、もしくは先天的に生えてこない理由の一つです。これはいわゆる人間の退化現象と考えられています。数々の文献を参考に調べてみると、≪噛むことを追求することを諦めたら人類が出来た≫と謳われるぐらいに歯とヒトの結びつきは深いようです。
🔸皆さんはレントゲン写真でご自身の親知らずの有無を確認したことがありますか?
歯医者さんに通われている方は、何度かご自身の歯のレントゲン写真を見たことがあると思うのですが、その時、上下左右8番目の親知らずは確認されていましたでしょうか?
私事ではありますが、私自身3~4年前に親知らずを1本抜きました。(残り3本あるが抜くまでに至らない。)抜くことを決めた理由は、親知らずが少し顔を出しており、歯肉周辺が大きく腫れ、手前の歯と歯の隙間が気になるようになったのがきっかけです。ちなみに下の歯で、神経に近い場所でした…
1.親知らずを抜かないといけないケースとは?
①噛み合わせに影響を及ぼしているとき😬💥
埋伏している歯の周辺の歯肉に悪影響を及ぼしていると判断されている場合
埋伏歯があることで、盛り上がっている歯肉が傷ついたり、その周りの歯が傾いてしまうこと・隙間ができてしまうことや、これが原因で噛み合わせが悪くなっていく場合、歯を抜く選択肢が浮上します。痛いほうで噛まない、つまり反対側の奥歯で噛んだり悪い癖が短期~長期的についていくことで噛み合わせの癖の影響が出てくるわけです。
②他の歯や骨に影響を及ぼしているとき(歯並びに悪影響を及ぼすと判断したとき)
水平に横たわっている状態でも手前の歯や骨を溶かしてしまうことがあります。そのため、他の歯や骨に悪影響が出る前に、抜歯で対処する必要があるのです。
③炎症を繰り返す時😖
④虫歯へのリスク👾🦷
手前の歯との隙間に段差ができていることにより、歯磨きやデンタルフロスがより一層、難しくなり手を加えることが大変になってきます。わずかに手が及ばないことが続いてしまうと、次第に虫歯のリスクを上げてしまうことがあります。親知らずだけが虫歯になるのだけではなく、手前の歯を虫歯から守るためにも、正しい判断が必要になってきます。
2.埋伏歯・傾斜歯の治療法😳💡
①親知らずを抜く場合、まずは口の中の状態を確認する必要があります。一般的にはCTレントゲンを使い、埋伏歯の正確な位置関係を確認した上で抜歯方法を患者さんとお話しし決めていきます。(※即日歯を抜くことはありません。後日に予約の上お願い致します)
まずは麻酔をして、術中痛みを感じないように対処します。そして歯茎を切開して歯を取り出し、穴の開いた部分は歯科専用の糸で縫合します。
通常であれば(真っすぐ生えている場合)30分~1時間程度で手術は完了します。しかし、埋伏歯が大きい場合や奥深くから生えていたり、倒れこんでいる場合には歯を分割して取っていくのでそれ以上に時間のかかる外科手術です。親知らずの本数や顎の神経にほど近い状態などは場合によっては入院を伴うケースもあり得るので総合病院や大学病院へお願いしていただくこともあります。その場合は、紹介状をお渡ししております。
抜歯が終了すれば、切開した歯茎を縫合し終了となります。
②消毒のため、複数回来院→抜糸 (化膿がなければ終了)
3.抜歯後
①抜歯後はしばらく安静に😑
抜歯後の日常生活でいくつか注意点があります。埋伏歯である親知らずの抜歯は歯茎を深く切開することになりますので、激しい運動や長時間のお風呂など体温や血流が上がる行為は、傷口が開いて出血してしまうことがあります。通常は手術が完了してから3日程度は安静を心がけましょう。
②痛み止めの薬を服用する💊😐
埋伏歯を抜歯している間は麻酔がかかっているので、痛みを感じることはまずありません。しかし麻酔は2~3時間程で効果がなくなるといわれており、その後は腫れたり痛みを感じたりします。
このような事態を想定し、歯科医院で痛み止めの薬が処方されますので、こちらを服用して痛みに対処しましょう。
痛み止めの飲み方については、自己判断せず必ず歯科医師、薬剤師の判断に委ねてください!
抜歯した後の腫れは時間が経過するとともに痛みや腫れは徐々に治まっていきます。
もし、痛みとは違う違和感を感じた場合は、早めの受診にご協力をお願いします💁♀️
【まとめ】
・埋伏歯の親知らずは抜歯する必要もあれば、別にそのまま様子見等をしていても問題のないケースがあります。もし、歯肉に痛みや手前の歯に親知らずが接していたり、虫歯になりそうなリスクを抱えている場合など、まずは歯科医院で診察を受け、どうすればよいのかアドバイスを受けましょう!