2025年11月21日
こんにちは。歯科医師の堀井です!
冷え込みが強まり、体調を崩しやすい時期ですが皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今回は多くの方からご相談をいただく『入れ歯』と『インプラント』の違いについて解説します。
入れ歯とインプラントは歯を失ったときの代表的な治療法ですが、それぞれ仕組みも特徴も大きく異なり、お口の状態や生活スタイルによって最適な選択肢は変わります。
歯を失ったままにしておくと、見た目の問題だけでなく、噛む力の低下、発音のしづらさ、周囲の歯への負担の増加、さらには全身の健康にも影響が及ぶことがあります。
こうした問題を防ぎ、失った機能を補う治療を 「欠損補綴(けっそんほてつ)」 と呼びます。
欠損補綴の目的は、
•食べる・話すなどの機能を回復する
•見た目(審美性)を整える
•残っている歯やあごの骨の健康を守る
•将来のトラブルを予防する
という、大切な役割を果たすことにあります。


1. 治療の仕組みと特徴
入れ歯(義歯) は、
歯ぐきの上にのせる取り外し式の装置です。部分入れ歯は残っている歯に金属のバネをかけ、総入れ歯は歯ぐきで支えます。
インプラント は、あごの骨に人工の歯根(チタン)を埋め込み、その上に人工歯を装着する固定式の装置です。見た目や使い心地が天然歯に近く、周囲の歯に負担がかからないのが特徴です。
2. 噛む力の違い
入れ歯は、総入れ歯でおよそ天然歯の20〜30%、部分入れ歯で30〜40%ほどまでしか回復しないとされています。これは、装置が歯ぐきの上に乗る構造のため、どうしても動きが出るためです。
インプラントは骨と結合して固定されるため、噛む力は天然歯に近いレベル(80〜100%)まで回復し、食事の制限が少なくなります。硬いものをしっかり噛みたい方や、食事を楽しみたい方には大きなメリットになります。
3. 日常生活での使い心地
入れ歯は、取り外して清掃できる点は便利ですが、「外れやすい」「話しにくい」「食べ物が挟まりやすい」などのストレスを感じる場合があります。歯ぐきの形が変わりやすいため、定期的な調整や作り替えも必要です。
インプラントは固定されているため、自分の歯に近い自然な感覚で使えます。会話や食事での違和感が少なく、長期的にも安定しやすいのが特徴です。ただし手術が必要で、治療期間は数ヶ月と長めになります。
4. 費用と治療期間
入れ歯は保険適用の選択肢があり、保険では費用を抑えられます。
インプラントは自費診療となり、費用は大きくなりますが、長期的な耐久性や自然な使い心地を重視する方に選ばれています。

5. どちらが自分に合っているか
外科処置を避けたい方、費用を抑えたい方は入れ歯が向いています。
しっかり噛みたい方、見た目の自然さを求める方、周囲の歯を守りたい方にはインプラントが適しています。
お口の状態(骨の量・噛み合わせ・残っている歯の健康)によって最適な選択肢は変わります。当院では精密検査を行い、患者さんの生活背景も含めて、納得して治療を選んでいただけるよう努めてまいります。
2025年11月11日
こんにちは、歯科医師の飯田です。
朝晩の冷え込みがぐっと強くなり、温かい飲み物が恋しい季節になりました。
この時期になると、「冷たい水や風が当たると歯がしみる…」というご相談が増えてきます。

冬場は知覚過敏が悪化しやすいタイミングでもあります。
今回は、知覚過敏が起きる原因と治療、そしてご自宅でできる対策をまとめました。
■ 知覚過敏はなぜ起きる?
歯の表面は「エナメル質」という硬い層に守られ、その内側に神経に近い「象牙質」があります。

エナメル質がすり減ったり、歯ぐきが下がると象牙質が露出し、冷たい・熱い・甘い・風・歯ブラシの刺激が神経に伝わりやすくなります。
これが知覚過敏の正体です。
特に多い原因は次の通りです。
● 歯ぐきが下がる(歯肉退縮)
加齢、歯周病、強いブラッシングなどが関係します。
● 歯のすり減り(咬耗・摩耗)
歯ぎしり、食いしばり、研磨剤の強い歯磨き粉の使いすぎなど。
● 酸によるダメージ(酸蝕)
炭酸飲料やスポーツドリンクなどで表面が溶けやすくなります。
● 虫歯・詰め物の不適合・ヒビ
「知覚過敏だと思っていたら虫歯だった」ということも珍しくありません。
■ 実は“口呼吸”が知覚過敏を悪化させる?

寒い季節に意外と増えるのが、口呼吸による知覚過敏の悪化です。
口が開いたままだと、空気が直接歯に当たり表面が乾燥します。
乾燥した象牙質は刺激が神経に伝わりやすくなるため、
- 冬の外気でしみる
- マスクを外すとキーンと来る
- 寝起きが特にしみる
といった症状が出やすくなります。
鼻づまりや花粉症、いびきなどで寝ているときに口が開く人も要注意です。
■ 歯科医院でできる治療
● 薬剤の塗布(フッ化物・コーティング剤)
象牙質を保護し、刺激を伝わりにくくします。
● レジン充填・コーティング
根元が削れている場合、形態を戻すことでしみが改善します。
● ナイトガード(マウスピース)
歯ぎしり・食いしばりが強い方に効果的です。
● 詰め物や虫歯のチェック
段差やヒビが原因の場合は、そちらの治療が優先になります。
■ 自宅でできる対策
● 知覚過敏用の歯磨き粉を継続して使用
シュミテクト・クリンプロなどは刺激を伝えにくくする成分入り。
● ブラッシングの力に注意
「ボールペンでメモを書く程度」の力で優しく磨くのがコツです。
● 酸性の飲み物・食べ物の摂り方に気をつける
だらだら飲みは表面が溶けやすくなります。
● 口呼吸の改善を意識する
マスクの中でも口を閉じて鼻呼吸
寝ているときの口の乾燥対策も効果的です。
■ まとめ
知覚過敏は、原因を見つけて正しく対処すれば改善できます。
「少しだけしみるから大丈夫」と放置せず、症状がある方はお気軽にご相談ください。
冷え込む季節こそ、歯をいたわりながら快適にお食事を楽しみましょう。
2025年10月10日
こんにちは!
歯科衛生士の阿部です!
今回は「ホワイトニングの効果と持続期間」についてお話ししていきます🦷✨
🦷ホワイトニングの効果と持続期間について
「笑ったときに見える白い歯」は、それだけで清潔感や若々しさを感じさせます。
最近では男女問わず、ホワイトニングに関心を持つ方が増えています。
しかし、「どんな効果があるの?」「どのくらい持つの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、ホワイトニングの仕組み・効果・持続期間について詳しくご紹介します。

💡ホワイトニングの仕組み
ホワイトニングとは、専用の薬剤(主に過酸化水素や過酸化尿素)を使って、歯の内部に沈着した色素を分解し、歯そのものを白くする施術です。
歯の表面の汚れを落とす「クリーニング」とは異なり、歯の内部にまで作用するのが特徴です。
日常生活の中で、歯はさまざまな要因によって徐々に黄ばんでいきます。
たとえば…
•コーヒーや紅茶、赤ワインなどの色素(ステイン)
•喫煙によるヤニ汚れ
•加齢によるエナメル質の変化
•薬の服用や遺伝的な要素
こうした着色や変色を、ホワイトニングによって歯の本来の明るさ以上にトーンアップさせることができます。
✨ホワイトニングの効果
ホワイトニングの主な効果は「歯を白くする」ことですが、それ以外にもさまざまなメリットがあります。
【見た目の効果】
•黄ばみが取れて透明感のある自然な白さになる
•清潔感が増し、口元の印象が明るくなる
•メイクやファッションとのバランスも良くなる
【心理的な効果】
•笑顔に自信が持てるようになる
•コミュニケーションが前向きになる
•自己肯定感が高まる
実際にホワイトニングをされた患者様からも、「マスクを外すのに抵抗がなくなった」「写真を撮るときに自然に笑えるようになった」というお声をよくいただきます。

⏳ホワイトニングの持続期間
ホワイトニングの効果は永続的ではありません。
一度白くなった歯も、時間の経過とともに少しずつ色が戻っていきます。
ただし、方法やケアの仕方によって持続期間に差が出ます。
【オフィスホワイトニング(歯科医院で行う)】
即効性があり、1回の施術で白さを実感しやすいのが特徴です。
持続期間の目安は約3〜6か月程度。
早く効果を出したい方、イベント前に白くしたい方におすすめです。
【ホームホワイトニング(自宅で行う)】
マウスピースに薬剤を入れて、自宅でじっくり白くしていく方法です。
効果が出るまでに少し時間はかかりますが、白さが自然で長持ちしやすいのが特徴です。
持続期間の目安は約6か月〜1年。
【デュアルホワイトニング(併用)】
オフィス+ホームを組み合わせることで、
「早く白く」「長くキープ」することが可能です。
白さをしっかり定着させたい方におすすめです。
🌿白さを長持ちさせるコツ
せっかく白くした歯も、日常生活の中での習慣によって再び着色してしまうことがあります。
白さをキープするために、次のポイントを意識してみましょう。
•コーヒー・紅茶・赤ワイン・カレーなどの着色しやすい飲食物を控える
•喫煙を控える
•毎日の歯みがきを丁寧に行う(研磨剤が少ない歯みがき粉がおすすめ)
•定期的にクリーニングや**タッチアップ(追加ホワイトニング)**を受ける
特に、3〜6か月ごとのメンテナンスを行うことで、白さをより長くキープできます。

🌸まとめ
ホワイトニングは、歯の色を明るくするだけでなく、笑顔の印象や気持ちまで明るくしてくれる素敵な施術です。
ただし、効果を長く保つためには生活習慣の見直しと定期的なメンテナンスが欠かせません。
「自分に合ったホワイトニング方法を知りたい」「白さをキープするコツを教えてほしい」など、気になることがあればぜひお気軽にご相談ください🪥✨
2025年09月27日
こんにちは!
歯科医師の村上です。
今日は副鼻腔炎は歯に影響があるの?について書いていこうと思います。
鼻の病気だから歯に影響はでないのでは?と思われがちですが歯に影響がでることもあるんです。
その理由は位置関係にあります。
上の奥歯(特に小臼歯・大臼歯)の根っこは、上顎洞という副鼻腔のすぐ下に位置しています。人によっては根尖(歯の根の先端)が上顎洞の粘膜と非常に近い、あるいは接していることもあります。上顎洞に炎症(副鼻腔炎)が起きると、その炎症が歯の根元や歯ぐきに影響して、歯に痛みや違和感を感じることがあります。特に「噛むと痛い」「歯が浮いた感じがする」などの症状が出ることがあります。
逆に歯の根の炎症(根尖病変など)から上顎洞に炎症が広がり、副鼻腔炎を起こすこともあります。これを「歯性上顎洞炎」といいます。
よくある症状は
・奥歯に原因不明の痛みや違和感
・歯の治療をしてもなかなか良くならない痛み
・上顎洞炎と同時に歯の痛みが出たり消えたりする
もし「歯が痛いけど虫歯や歯周病が見つからない」とか「副鼻腔炎と同時に歯が変に痛む」という状況なら、歯性の関わりを疑うと良いです。
歯からくる副鼻腔炎と、副鼻腔炎からくる歯の痛みの見分け方をまとめてみたのでぜひ参考にして下さい!
🦷 歯からくる副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)
⚪︎原因
• 虫歯が神経まで進んで根の先に膿がたまる
• 根の治療後のトラブル
• 親知らずや歯周病
⚪︎特徴的な症状
• 痛む場所が「特定の歯」にはっきりしていることが多い
• 噛むと強く痛む
• 歯ぐきに腫れや膿が出ることがある
• 片側だけの副鼻腔炎になりやすい(両側性は少ない)
🤧 副鼻腔炎からくる歯の痛み
⚪︎原因
• 上顎洞の粘膜が腫れて歯の根を圧迫する
• 炎症が神経に波及して「関連痛」として歯に響く
⚪︎特徴的な症状
• 奥歯が「まとめて」痛む、どの歯が悪いかはっきりしない
• 歯が浮いた感じ、じんわり重い痛み
• 鼻づまり・頭痛・顔の圧迫感を伴うことが多い
• 前かがみになると痛みや重さが増す
• 歯を治療しても改善しない
🔍 見分けのコツ
• どの歯か特定できる → 歯の問題の可能性大
• 歯全体が浮くように痛い/鼻の症状もある → 副鼻腔炎の可能性大
• 片側の奥歯だけ痛み、副鼻腔炎も片側だけ → 歯が原因の副鼻腔炎の可能性
歯科でレントゲンやCTを撮って 歯根の病変があるか確認し、耳鼻科で副鼻腔の状態をチェック してもらうのが確実だと思われます!
2025年09月12日
秋風が吹き始め、長かった夏も終わりを迎えようとしていますが、いかがお過ごしでしょうか?🍂
こんにちは、歯科衛生士の沖村です!
皆さん歯医者にメンテナンスに行った際、歯磨きを褒められたことはありますか?
季節の変わり目で体調を崩しやすい今、口の中のセルフケアも重要となってきます🦷
今回は歯科衛生士の私から、歯磨き上達のコツを教えちゃいます🪥

歯磨きには、いくつかの「磨き方」が存在します。これは特定の誰かが考えたのではなく、歯科界の研究や臨床経験を通じて発展してきましたそうです。
歯科衛生士を目指す学校で教わる磨き方の基盤であり、それを基に歯科衛生士は皆さまに指導しています。
ただ歯科衛生士の指導の通り磨いているつもりが上手く磨けていなかったり、時間をかけ丁寧に磨いたつもりが全然磨けていなかったりした経験はありませんか?
その原因は今回のコツに繋がります!
ズバリ、「鏡を見ていないから」です!
お化粧をする時、髭を剃る時、髪の毛を整える時、皆さん何回も何年も見ている顔なのに、毎回鏡を見ないと整えられないと思います。
それに比べて歯磨きをする時はどうでしょう?
顔に比べて自分の歯を見る機会は少ないと思いますが、洗面台の鏡の前では磨いているけど、歯を見て磨いてない、まず鏡すらみてない方がほとんどなのです!
歯の形態を理解し、汚れが付きやすい所を知っており、自分の歯にも関心があり普段からよく観察している歯科医師や歯科衛生士も、鏡を見ないと完璧に磨くのは難しいです。
歯ブラシの動かし方を教えられても、歯磨きが上達しない原因はここにあると思います。
まずは自分の歯がどう生えていて、どこまで生えているのかを鏡で確認して、歯に歯ブラシを当てる、当たって初めて様々な歯ブラシの動かし方が活きてきます。
そして鏡は、近くで歯をじっくり見ることのできる手鏡がオススメです。
今すぐにでも始められる歯磨き上達の秘訣、
ぜひ次の歯磨きから試してみてください!

当院のメンテナンスでは、歯ブラシの処方なども行っております。
ご自身に合ったセルフケア方法を一緒に見つけましょう!
2025年08月29日
こんにちは☀︎
歯科助手・TCの髙橋です☺︎
まだまだ夏の暑さが続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
私はお盆休みに地元の秋田に帰省をし、関東より少しだけ涼しい夏を過ごしました🎐
今日は歯医者で行われる資料撮りについてお話していきます!
みなさんは歯医者で自分のお口の中の写真を撮られたことありますか?
なんでレントゲンを撮るのにお口の中の写真まで撮るのだろう?と不思議に思ったことがある方もいるかもしれません。
写真を撮るのにはいくつか理由があります💡
⑴正確な診断のため
虫歯や歯周病、詰め物や被せ物の状態などを詳しく確認することができます
⑵経過を観察するため
治療前・治療中・治療後の変化を記録し、比較ができるようになります
また、レントゲンでは見えにくい歯の表面や歯茎の状態をカラー画像で確認することもできます
⑶患者さんへの説明に使用するため
どこがどういう状態なのかを視覚的に理解してもらうことができます
⑷治療の性質向上のため
歯科医師や歯科衛生士が細部を拡大して確認できるため、精度があがります。
また、技工士さんに詰め物や被せ物を作ってもらう時にも情報を伝えるツールとして有効です
このようにいくつかの理由がある上でお写真を撮らせていただいています。
では実際にどんな写真を撮っているのか!

こんな感じで撮っています📷
ちなみに一眼レフなので画質はとても良いです✨
正面や側方、あとは食事で物を噛む面(咬合面)の部分などさまざまな視点から撮っています!
実際に当院では初診時にお撮りするレントゲン資料だけではなく、こちらのお口の写真も使用して患者さんに治療についてのカウンセリングを行っています。
そうすることで普段自分の視点からは見ることのできない場所の状態を確認することで現状把握やオーラルケアのモチベーションアップにも繋がります🪥
歯医者に来院された際にお口の写真を撮ると言われた時にはぜひ私がお話したお口の中を撮る理由を思い出していただけると嬉しいです^^
当院では大切な資料としてお撮りするため、スタッフも技術向上のために日々練習をしています!
お口の写真で何か気になることなどがあれば遠慮なくスタッフにお声がけください。
2025年08月15日
みなさんこんにちは!
歯科助手・トリートメントコーディネーターの長岡です。
みなさん突然ですが、「歯周ポケット」という言葉を聞いたことはありますか?
歯医者さんで検診を受けた時に歯ぐきに器具を入れ「チクっ」とした経験や「○ミリですね」と言われたことありませんか?
でも、実際にそれが何を検査しているのか、何を意味するのか、詳しく知っている方は意外と少ないです。
歯ぐきと歯のすき間、それが「歯周ポケット」
歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの間にできる“すき間”のことです。健康な歯ぐきでは、このすき間はとても浅く、2〜3ミリ程度。しかし歯ぐきが炎症を起こしたり、歯を支える骨が減ってくると、このすき間が深くなってしまいます。深くなった部分には食べかすや歯垢(プラーク)がたまりやすく、さらに炎症が悪化してしまうという悪循環が生まれます。
どうしてポケットが深くなるの?
原因の多くは歯周病です。
歯周病は、歯垢の中にいる細菌が歯ぐきに炎症を起こし、進行すると歯を支える骨まで溶かしてしまう病気です。炎症によって歯ぐきが腫れ、歯と歯ぐきの間が広がることでポケットが深くなります。初期は痛みがほとんどなく、知らない間に進んでしまうため“沈黙の病気”とも呼ばれます。

歯周ポケットの深さでわかること
歯医者さんでは、専用の細い器具(プローブ)でポケットの深さを測ります。
・3ミリ以内:健康、または軽い歯肉炎
・4〜5ミリ:歯周病の初期〜中等度
・6ミリ以上:進行した歯周病
深さが大きいほど、汚れがたまりやすく、歯ブラシでは届きにくくなります。

放置するとどうなる?
歯周ポケットが深くなったまま放置すると、歯を支える骨がさらに減っていきます。すると歯がグラグラして、最終的には抜けてしまうことも…。
実は、日本で歯を失う一番の原因は虫歯ではなく歯周病です。
自分でできる予防とケア
歯周ポケットを深くしないためには、毎日の丁寧な歯磨きと、歯垢や歯石を定期的に取り除くことが大切です。歯と歯ぐきの境目を意識して磨く、デンタルフロスや歯間ブラシを使うなど、少しの工夫で予防できます。
歯並びによっても磨き方にコツが必要だったりするので詳しい磨き方については当院にお越しの際に歯科医師・歯科衛生士にお気軽にお尋ねください!
早めの受診が安心への近道
歯周病は初期のうちなら改善が可能です。ポケットが浅い状態を保つことが、将来の歯の健康を守ります。気になる症状がなくても、半年〜1年に一度は歯科医院で検診を受けてみましょう。
健康な歯や歯ぐきは一生の財産。
あなたの笑顔を守るためにも、まずは歯科医院で歯周ポケットのチェックを受けてみませんか?
2025年07月18日
こんにちは、歯科医師の飯田です。
今日は皆さんの顎と歯についてお話していきます。
顎関節症とくいしばりは関係あるの?
── 実は「歯周病の悪化」などにも関係してたりします。
「朝起きるとあごがだるい」「口を開けるとカクッと音がする」
そんな症状を感じたことはありませんか?
それは顎関節症のサインかもしれません。
そして、近年その原因として注目されているのが「くいしばり」。

しかもくいしばりは、歯ぐきや骨にまで悪影響を与えることがあるんです。
■顎関節症とくいしばりの関係
顎関節症は、あごの関節や筋肉に不調が出る病気です。代表的な症状には:
- あごの痛み(特に耳の前あたり)
- カクカク音が鳴る
- 口を開けにくい・疲れやすい
その原因のひとつが無意識のくいしばりです。
🦷豆知識:上下の歯は、安静時は基本的に触れていません。
■くいしばりが歯周病を悪化させる理由
歯周病は歯ぐきの炎症が進行して、歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしていく病気です。
しかし、強い咬合力(くいしばり)が加わると、それだけで骨が吸収されることがあります。
これを「咬合性外傷」と言います。
🦷くいしばり+歯周病菌 = 骨が加速度的に壊れていく
- 歯がぐらつく
- 歯ぐきが急に下がる
- 歯の浮いた感じがする
…こうした症状が出る場合は、くいしばりの力の影響を疑います。
■治療アプローチ:スプリント・ボツリヌス療法
🦷マウスピース
睡眠中に装着し、歯や関節に加わる力を分散させます。
装着することで「歯の摩耗」や「関節の消耗」を防ぐことができます。

🧪ボツリヌス治療(ボトックス注射)

咬筋(エラの筋肉)や側頭筋に少量のボツリヌストキシンを注射することで、
過剰な筋肉の緊張をやさしくゆるめ、くいしばりの力そのものを弱める治療です。
効果は3〜6か月程度持続し、以下のようなメリットがあります:
- 顎関節の痛みやだるさの軽減
- 歯の破折や摩耗の予防
- エラの張りがやわらぐ美容的効果も(副次的)
🟡注意点としては:
- 妊娠中・授乳中は不可
- ごくまれに一時的な筋力低下や口元の違和感が起きることがあります
当院では、スプリントだけで改善が難しい方や、筋肉の緊張が強い方におすすめしています。
■まとめ
くいしばりは、顎関節症だけでなく、歯周病の悪化や歯そのものの寿命にも関わる問題です。
だからこそ、「くせだから仕方ない」とあきらめず、力のコントロールを意識的に行うことが重要です。
治療にはマウスピースや生活指導に加えて、ボツリヌス療法という選択肢もあります。
患者さん一人ひとりの症状や生活に合わせて、無理のないアプローチをご提案いたします。
「もしかして私も…」と感じた方は、ぜひお気軽にご相談ください。
あなたのあごと歯ぐきを、私たちが守ります。
2025年07月3日
こんにちは! 市川ビルさとう歯科・矯正歯科船橋の歯科医師 坂牛です。
今回は、近年注目されているにもかかわらず、まだあまり知られていない「酸蝕症」について、分かりやすくお伝えしたいと思います。
船橋で歯の異変を感じたら!酸蝕歯の治療と予防は市川ビルさとう歯科・矯正歯科船橋へ
「最近、歯がしみる」「歯の表面がなんだかツルツルしている」「昔より歯が黄ばんできた気がする」そんなお悩みはありませんか? もしかしたらそれは、虫歯ではないのに歯が溶けてしまう「酸蝕症(さんしょくしょう)」のサインかもしれません。酸蝕症は、酸によって歯のエナメル質が少しずつ溶かされていく病気です。虫歯(う蝕)のように細菌が関与するわけではないため、自覚症状が出にくいのが特徴です。そのため、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。早期に発見し適切な対策をすることが、歯を守るうえで非常に大切です。

「酸蝕症の病態と臨床対応 (北迫勇一)」より引用
酸蝕症ってどうしてなるの?原因と治療法
酸蝕症の原因は大きく分けて2つあります。一つは体の中からくる「内因性」のもの、もう一つは口の外からくる「外因性」のものです。
内因性の原因で代表的なのは、逆流性食道炎による胃酸の逆流です。胃酸は非常に強力な酸性であるため、繰り返し逆流することで歯が酸にさらされ、溶けてしまいます。また、拒食症や過食症に伴う嘔吐も同様に歯にダメージを与えます。

「酸蝕症の病態と臨床対応 (北迫勇一)」より引用
一方、外因性の原因として挙げられるのは、酸性の飲食物の過剰摂取です。例えば、炭酸飲料、スポーツドリンク、柑橘類、お酢を多く含む食品などは酸性が強く、これらを頻繁に口にすることで歯が溶けるリスクが高まります。特に、だらだらと飲み続けたり、口の中に長く留めたりする習慣がある方は注意が必要です。酸蝕症が進行すると、知覚過敏、歯の変色、歯の欠け、さらには噛み合わせの変化など、さまざまな問題を引き起こします。
当院では、患者様一人ひとりのライフスタイルや食習慣、全身疾患などを丁寧にヒアリングし、原因を特定することから始めます。初期症状であれば、フッ素塗布や食習慣の改善指導で進行を抑えることができます。進行してしまった場合でも、溶けてしまった部分をコンポジットレジンで修復したり、歯の状態によっては詰め物や被せ物で対応したりすることで、見た目と機能を回復させることが可能です。当院では、マイクロスコープを用いた精密な診査により、肉眼では見えにくい歯のわずかな変化も正確に把握し、最適な治療計画をご提案いたします。
市川ビルさとう歯科・矯正歯科船橋では、酸蝕症の治療と予防に力を入れています。当院の強みは、患者様一人ひとりに寄り添った丁寧なカウンセリングです。酸蝕症は生活習慣が大きく関わるため、まずは患者様のお話をじっくりお伺いし、原因となっている可能性のある要素を見つけ出します。そして、マイクロスコープで行う精密な診査により、肉眼では捉えきれない歯の微細な変化やダメージを正確に診断します。これにより、適切な治療法を的確に判断し、患者様にご納得いただけるまで詳しくご説明いたします。
当院では、酸蝕症の進行度合いや患者様のご希望に応じて、様々な治療オプションをご用意しています。管理栄養士による食事指導を通じて、食習慣の改善をサポートします。また、歯科衛生士による丁寧なメンテナンスでは、ご自宅でのセルフケア方法のアドバイスや、歯の表面に残った酸の除去、フッ素塗布などを行います。これにより、歯質の強化を図り、酸への抵抗力を高めます。さらに、進行した酸蝕歯に対しては、見た目も美しく、かつ耐久性のあるコンポジットレジンを用いた修復治療や、必要に応じて詰め物・被せ物といった治療を行います。これらはすべて、歯科医師と連携し、患者様にとって最適な治療方針を検討し実行します。当院は土日診療も行っておりますので、平日お忙しい方も安心してご来院いただけます。また、定期検診で早期発見に努めることで、重症化する前に食い止めることができます。
酸蝕症に関するよくある質問と費用目安
Q1: 酸蝕症と虫歯(う蝕)の違いは何ですか? A1: 酸蝕症は酸によって歯が化学的に溶けるのに対し、虫歯は細菌が糖を分解して酸を作り、その酸によって歯が溶かされる病気です。
Q2: 歯がしみるのは酸蝕症の初期症状ですか? A2: 知覚過敏は酸蝕症の一般的な初期症状の一つですが、他の原因も考えられます。正確な診断のためには歯科医院での診察が必要です。
Q3: 予防のために、具体的に何をすれば良いですか? A3: 酸性の飲食物を摂りすぎない、だらだら飲みを避ける、食後は水やお茶で口をゆすぐ、フッ素配合歯磨き粉を使うなどが挙げられます。
Q4: 治療にかかる費用はどれくらいですか? A4: 酸蝕症の治療費用は、症状の進行度合いや選択される治療法によって異なります。保険診療が適用される場合と、自費診療となる場合があります。例えば、コンポジットレジンによる修復は保険適用となることが多いですが、広範囲の治療や審美性を重視する場合は自費診療となることもあります。詳細な費用については、患者様のお口の状態を拝見し、治療計画をご説明する際にご案内いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
早期発見・早期治療が大切!歯の健康は市川ビルさとう歯科・矯正歯科船橋へ
歯は一度溶けてしまうと元には戻りません。しかし、酸蝕症は早期に発見し、適切な対策を講じることで、その進行を食い止め、ご自身の歯を長く健康に保つことが可能です。
「もしかしたら酸蝕症かも?」と少しでも不安に感じたら、どうぞお気軽に市川ビルさとう歯科・矯正歯科船橋へご相談ください。当院では、丁寧なカウンセリングと精密な検査で、患者様のお口の状態を正確に把握し、一人ひとりに最適な治療と予防法をご提案いたします。皆様の口腔健康維持のため、スタッフ一同、全力でサポートさせていただきます。まずはお電話、またはWeb予約からご連絡ください。
2025年06月20日
こんにちは!歯科医師の水野です。
「歯石」という言葉は聞いたことがある方も多いと思いますが、「縁下歯石(えんかしせき)」となると、あまり聞き慣れないかもしれませんね。歯茎の健康に深く関わるこの縁下歯石について、分かりやすく解説していきます。
歯石と縁下歯石、どう違うの?
まず、歯石とは、歯磨きで取り切れなかった食べカスや細菌の塊(プラーク)が唾液のミネラルと結びついて石のように硬くなったものです。歯の表面についている白い、または黄色っぽい塊を見たことがある方もいるでしょう。これは「縁上歯石(えんじょうしせき)」といって、歯茎より上に見えている歯石です。歯磨きや歯間ブラシ、デンタルフロスなどで比較的取り除きやすい歯石です。
一方、今回お話しする縁下歯石は、歯茎の奥深く、歯と歯茎の境目にある「歯周ポケット」の中に隠れるようにしてできる歯石です。縁上歯石と違い、歯茎に覆われているため、自分では見ることができませんし、歯ブラシで取り除くことも非常に難しいのが特徴です。

縁下歯石はなぜ厄介なの?
縁下歯石が厄介なのは、その性質にあります。
・色と硬さ: 縁下歯石は、血液成分を取り込むため、黒褐色をしていることが多いです。また、縁上歯石よりも硬く、歯にしっかりとこびりついています。
・歯周病を悪化させる温床: 縁下歯石の表面はザラザラしていて、細菌が繁殖しやすい構造をしています。この細菌が歯周病の原因となり、歯茎の炎症(歯肉炎)をさらに悪化させたり、歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしたりする「歯周炎」へと進行させてしまうのです。歯周病が進行すると、歯茎が腫れて出血しやすくなったり、口臭がきつくなったり、最終的には歯がグラグラになって抜け落ちてしまうこともあります。
どうやってできるの?
縁下歯石ができる主な原因は、歯周ポケットの存在です。歯周病が進行すると、歯と歯茎の間に隙間ができ、この隙間が深くなることで歯周ポケットが形成されます。このポケットの中にプラークが溜まり、やがて縁下歯石へと変化していくのです。歯周病は自覚症状がないまま進行することが多いため、気づかないうちに縁下歯石が溜まっていることも珍しくありません。
縁下歯石は自分で取れない!
前述の通り、縁下歯石は歯茎の奥に隠れているため、ご自身で歯ブラシなどで取り除くことは不可能です。無理に取ろうとすると、歯茎を傷つけたり、炎症を悪化させたりする危険性があります。
どうすればいいの?
縁下歯石を取り除くには、歯科医院での専門的な治療が必要不可欠です。
歯科医院では、専用の器具を使って歯周ポケットの奥深くにある縁下歯石を丁寧に取り除いていきます。これを「スケーリング」と呼びます。場合によっては、歯の根の表面を滑らかにする「ルートプレーニング」という処置も行い、細菌が付着しにくい環境を整えます。
これらの処置は、歯周病の進行度合いによって複数回に分けて行われることもあります。治療後は、ご自宅での毎日の丁寧な歯磨きと、定期的な歯科医院でのメインテナンスが非常に重要です。
まとめ
縁下歯石は、歯周病を悪化させる大きな要因となります。自分では見えず、取り除くこともできないため、定期的に歯科医院を受診し、プロによるクリーニングを受けることが歯と歯茎の健康を守る上で非常に大切です。
「最近、歯茎から血が出るな…」「口臭が気になるな…」と感じたら、それは縁下歯石や歯周病のサインかもしれません。手遅れになる前に、ぜひ一度歯科医院で診てもらいましょう! 早期発見・早期治療が、大切な歯を守る第一歩です。