知覚過敏の原因と治療法・対策
2025年11月11日
こんにちは、歯科医師の飯田です。
朝晩の冷え込みがぐっと強くなり、温かい飲み物が恋しい季節になりました。
この時期になると、「冷たい水や風が当たると歯がしみる…」というご相談が増えてきます。

冬場は知覚過敏が悪化しやすいタイミングでもあります。
今回は、知覚過敏が起きる原因と治療、そしてご自宅でできる対策をまとめました。
■ 知覚過敏はなぜ起きる?
歯の表面は「エナメル質」という硬い層に守られ、その内側に神経に近い「象牙質」があります。

エナメル質がすり減ったり、歯ぐきが下がると象牙質が露出し、冷たい・熱い・甘い・風・歯ブラシの刺激が神経に伝わりやすくなります。
これが知覚過敏の正体です。
特に多い原因は次の通りです。
● 歯ぐきが下がる(歯肉退縮)
加齢、歯周病、強いブラッシングなどが関係します。
● 歯のすり減り(咬耗・摩耗)
歯ぎしり、食いしばり、研磨剤の強い歯磨き粉の使いすぎなど。
● 酸によるダメージ(酸蝕)
炭酸飲料やスポーツドリンクなどで表面が溶けやすくなります。
● 虫歯・詰め物の不適合・ヒビ
「知覚過敏だと思っていたら虫歯だった」ということも珍しくありません。
■ 実は“口呼吸”が知覚過敏を悪化させる?

寒い季節に意外と増えるのが、口呼吸による知覚過敏の悪化です。
口が開いたままだと、空気が直接歯に当たり表面が乾燥します。
乾燥した象牙質は刺激が神経に伝わりやすくなるため、
- 冬の外気でしみる
- マスクを外すとキーンと来る
- 寝起きが特にしみる
といった症状が出やすくなります。
鼻づまりや花粉症、いびきなどで寝ているときに口が開く人も要注意です。
■ 歯科医院でできる治療
● 薬剤の塗布(フッ化物・コーティング剤)
象牙質を保護し、刺激を伝わりにくくします。
● レジン充填・コーティング
根元が削れている場合、形態を戻すことでしみが改善します。
● ナイトガード(マウスピース)
歯ぎしり・食いしばりが強い方に効果的です。
● 詰め物や虫歯のチェック
段差やヒビが原因の場合は、そちらの治療が優先になります。
■ 自宅でできる対策
● 知覚過敏用の歯磨き粉を継続して使用
シュミテクト・クリンプロなどは刺激を伝えにくくする成分入り。
● ブラッシングの力に注意
「ボールペンでメモを書く程度」の力で優しく磨くのがコツです。
● 酸性の飲み物・食べ物の摂り方に気をつける
だらだら飲みは表面が溶けやすくなります。
● 口呼吸の改善を意識する
マスクの中でも口を閉じて鼻呼吸
寝ているときの口の乾燥対策も効果的です。
■ まとめ
知覚過敏は、原因を見つけて正しく対処すれば改善できます。
「少しだけしみるから大丈夫」と放置せず、症状がある方はお気軽にご相談ください。
冷え込む季節こそ、歯をいたわりながら快適にお食事を楽しみましょう。






