バイオフィルム&PMTC
2017年07月23日
こんにちは、衛生士の川嶌です(^o^)
突然ですが「バイオフィルム」をご存知ですか?
ちょっと聞き慣れない言葉ですが、「バイオフィルム」は細菌のかたまりであるプラークの強固な集合体です。流しの排水溝のヌルヌルもバイオフィルムです。
実は、お口の中でも細菌のかたまりであるバイオフィルムが形成されています。
バイオフィルムは細菌のそれ自体がフィルム状のバリアーで覆われているので、外部から保護されて細菌にとって住み易い環境となります。
その上、歯面や歯と歯肉の間の歯周ポケット以外にも舌の表面(口臭となる舌苔)や入れ歯(義歯)にも付着します。
そして、虫歯や歯周病はバイオフィルム感染症です。
バイオフィルムは歯ブラシが届かない部位に付着します。歯面にあるとエナメル質を溶かし虫歯を発生させます。
歯周ポケット内では歯肉の炎症を拡大させ、歯を支えている骨まで破壊されて歯を失うことになります。
平坦な面のバイオフィルムは歯ブラシで丁寧に磨けば除去できますが、歯周ポケット内は歯ブラシが届かずバイオフィルムはますます成長していきます。
バイオフィルムは薬が効きません。
バイオフィルムが厄介なのはバリアーで覆われているので抗菌剤や消毒剤などの薬が浸透しにくく効かないことです。
今の所歯ブラシなどで物理的に除去する以外に方法はないのですが、歯ブラシの届きにくい部分には歯科での専門家による対応がどうしても必要です。
歯ブラシがきちんと当たる場所はバイオフィルムが出来る前にとれてしまいますが、次のような人はできやすい条件があるので注意が必要です。
ブラッシングが上手く出来ない人
歯並びが悪く角度的に歯ブラシがうまく当たらない人
歯周ポケットが深い人
矯正治療中の人
修復物の多い人
などです。
しつこいバイオフィルムにPMTC!
PMTCは効果的なプロケアのひとつです。
PMTCは口の中の健康をサポートする手段です。患者の皆様のお口の中の状態や症状によって、専門家(歯医者・歯科衛生士)の判断の元に行われます。
定期検診で皆様の健康をサポートして行うのはもちろんの事、治療中でバイオフィルムが上手く取れない場合でもお口の状態によってPMTCを行います。
PMTCの一般的ステップ
お口の中の状態チェック
ブラッシングの状態、バイオフィルムの付着をチェックします。
きれいにブラッシングしているつもりでもバイオフィルムは付着しているのです。
歯石除去
歯の表面や歯肉の中(歯根の表面)などに付着している歯石を除去します。
洗浄
人によっては歯周ポケット内のバイオフィルムを歯科医院専用の器具を使って除去(破壊)する必要があります。
清掃
歯科医院専用の器具を使い、歯面・歯間部・歯と歯肉の間・咬合面などをきれいにします。
フッ化物の塗布
必要であれば、フッ化物などを塗布し、歯質を強化します。
これは一般的な手順で皆様のお口の状態によってやり方が異なる場合もございます。
詳細は担当の衛生士にお尋ね下さい。
PMTCはホームケアをサポートするものです
ホームケア+PMTC=健康なお口の維持
PMTCの効果
ムシ歯の予防
バイオフィルムを除去し再付着を防ぐのでムシ歯予防効果があります。
そのため歯のエナメル質表面へのカルシウム補給を促し、再石炭化を促進します。
歯周病・歯肉炎の改善
歯周ポケット1~3mmのバイオフィルムを除去するので歯肉の状態を改善し予防にも繋がります。3mm以上深いポケットの場合は他の方法でバイオフィルムを除去します。
歯質の強化
洗浄後にフッ化物入りのペーストやカルシウム補給剤を塗布することにより、歯の再石炭化をさらに促進します。
自然な美しさの回復
歯に付いたヤニや色素も取り除けるので、皆様の持つ本来の光沢ある歯面になります。
(※歯を薬品で白くするホワイトニングとは異なります)
PMTCを行うことでプラークが付きにくくなります
PMTCで歯面をツルツルにしますので、暫くの間は汚れが付きにくくなり健康な状態を維持する事ができます。
しかし、一定期間を過ぎるとまた元の付着しやすい状態になりますので、定期的にPMTCを受ける事をお薦めします。
入れ歯(義歯)にもPMTCは効果的です
入れ歯にもバイオフィルムは付いてしまいます。清掃が不十分だと歯茎の状態が悪化し、入れ歯も合わなくなってきます。入れ歯だから関係ないと思わずに定期的に清掃をしましょう。
理想は、毎月のPMTCですが、トラブルがない健康な方でも3ヶ月に一度のご来院をおすすめいたします(^-^)/