顎関節症とくいしばりは関係あるの?
2025年07月18日
こんにちは、歯科医師の飯田です。
今日は皆さんの顎と歯についてお話していきます。
顎関節症とくいしばりは関係あるの?
── 実は「歯周病の悪化」などにも関係してたりします。
「朝起きるとあごがだるい」「口を開けるとカクッと音がする」
そんな症状を感じたことはありませんか?
それは顎関節症のサインかもしれません。
そして、近年その原因として注目されているのが「くいしばり」。

しかもくいしばりは、歯ぐきや骨にまで悪影響を与えることがあるんです。
■顎関節症とくいしばりの関係
顎関節症は、あごの関節や筋肉に不調が出る病気です。代表的な症状には:
- あごの痛み(特に耳の前あたり)
- カクカク音が鳴る
- 口を開けにくい・疲れやすい
その原因のひとつが無意識のくいしばりです。
🦷豆知識:上下の歯は、安静時は基本的に触れていません。
■くいしばりが歯周病を悪化させる理由
歯周病は歯ぐきの炎症が進行して、歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしていく病気です。
しかし、強い咬合力(くいしばり)が加わると、それだけで骨が吸収されることがあります。
これを「咬合性外傷」と言います。
🦷くいしばり+歯周病菌 = 骨が加速度的に壊れていく
- 歯がぐらつく
- 歯ぐきが急に下がる
- 歯の浮いた感じがする
…こうした症状が出る場合は、くいしばりの力の影響を疑います。
■治療アプローチ:スプリント・ボツリヌス療法
🦷マウスピース
睡眠中に装着し、歯や関節に加わる力を分散させます。
装着することで「歯の摩耗」や「関節の消耗」を防ぐことができます。

🧪ボツリヌス治療(ボトックス注射)

咬筋(エラの筋肉)や側頭筋に少量のボツリヌストキシンを注射することで、
過剰な筋肉の緊張をやさしくゆるめ、くいしばりの力そのものを弱める治療です。
効果は3〜6か月程度持続し、以下のようなメリットがあります:
- 顎関節の痛みやだるさの軽減
- 歯の破折や摩耗の予防
- エラの張りがやわらぐ美容的効果も(副次的)
🟡注意点としては:
- 妊娠中・授乳中は不可
- ごくまれに一時的な筋力低下や口元の違和感が起きることがあります
当院では、スプリントだけで改善が難しい方や、筋肉の緊張が強い方におすすめしています。
■まとめ
くいしばりは、顎関節症だけでなく、歯周病の悪化や歯そのものの寿命にも関わる問題です。
だからこそ、「くせだから仕方ない」とあきらめず、力のコントロールを意識的に行うことが重要です。
治療にはマウスピースや生活指導に加えて、ボツリヌス療法という選択肢もあります。
患者さん一人ひとりの症状や生活に合わせて、無理のないアプローチをご提案いたします。
「もしかして私も…」と感じた方は、ぜひお気軽にご相談ください。
あなたのあごと歯ぐきを、私たちが守ります。






