ボツリヌス療法
2023年06月14日
こんにちは。歯科医師の堀井です。
今日は歯科医院で行うボツリヌス療法についてお伝えします。
ボツリヌス療法は美容治療のために行うイメージが強いと思いますが、歯科領域でも応用されています。
ボツリヌス菌から抽出されるボツリヌストキシンは、筋肉の過剰な収縮を抑制する効果があり、これを利用して様々な歯科疾患の治療に役立てられます。
当院では歯ぎしり•食いしばりに対して、筋肉を弛緩させることで力の影響を改善する治療を行っています。
歯ぎしりや食いしばりが強いと
・顎関節症
・歯の欠けや割れ
・インプラントや被せ物の割れ
・知覚過敏
・歯周病の悪化
・舌・頬粘膜のこすれや圧痕、口内炎
などのお口の中のトラブルをに加え、
・咬筋の肥大(エラが張る)
・頭痛・肩こり
・睡眠障害
など、様々なトラブルを生じることがあります。
現時点では、残念ながら歯ぎしりや食いしばりを効果的に抑制する治療方法はありません。
そのため、あくまでも歯ぎしりや食いしばりによる悪影響を軽減させる治療が行われており、一般的に歯科ではマウスピース(ナイトガード)を使用する保存的治療を選択します。
しかし、マウスピースを使用しても改善が認められない方や、どうしてもマウスピースに慣れない方には筋肉活動自体を抑える「ボツリヌス療法」が有効な場合があります。
歯ぎしりや食いしばりに対するボツリヌス治療は「噛む」ための筋肉である咀嚼筋のうち咬筋や側頭筋に注射をして症状の緩和を図ることを目的としています。
ボツリヌス注射により歯ぎしりや食いしばりを全くしなくなるということはありませんが、筋肉自体の働き・収縮を緩めることができるので、結果として歯ぎしりや食いしばりによる力の影響を少なくすることが期待できます。
睡眠中の歯ぎしりはご自身の歯を痛めるだけなく、噛むための筋肉(咬筋や側頭筋)の痛みを引き起こすこともあり、ひどい場合には肩こりや頭痛を生じる場合もあります。
寝ている間の歯ぎしりは自覚することは難しいのですが、朝起きた時に顎が疲れていたり、こめかみの痛みがある場合には歯ぎしりをしている可能性が高くなります。
歯ぎしりや食いしばりが気になる方はぜひご相談ください!