歯周病と認知症について
2022年05月10日
こんにちは、歯科医師の蔡です。
今日のトピックは 近年、問題となっている、認知症についてです。
「なぜ歯科で認知症?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、認知症の中で、最も多いのがアルツハイマー型認知症で認知症の67%を占めます。
実は歯周病がアルツハイマー病を引き起こす原因になるということが話題になっています。
歯周病菌は全身疾患と関りがあることは、すでに周知の事実として広く知られるようになってきました。
口の中の歯周病菌が血液に乗って移動し、カラダ全体に悪影響を与えていることが、すでに周知の事実として広く知られるようになってきました。歯周病菌のひとつであるPg菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)は、認知症の原因となる、ベータアミロイドとの関わりが深いことも明らかになっています。
Pg菌が血管の中に入り込むと、血流の流れに乗ってカラダ全体に広がります。広がった菌は体の免疫によって細菌は死滅します。しかし細菌が死んだから問題ないわけではありません。
このPg菌を始めとする歯周病菌の死骸は、発熱などの諸々の生体反応を出す内毒素(エンドトキシン)を体内に残すことになるのです。
認知症の6〜7割を占めるアルツハイマー型の認知症では、このような毒素が脳に溜まることによって、アミロイドβ(神経細胞から分泌される物質)が蓄積されます。
このアミロイドβがアルツハイマーを進行させることから、歯周病と認知症には密接な関係があることがわかってきています。
今後も最新の研究で歯周病と疾患の研究が進んでいくと思います。
お口の中をきれいにすることは、歯周病の予防だけでなく、身体全体の健康に密接に関わっているのです。