エピオスエコシステム
2020年03月17日
こんにちは。歯科医師の堀井です。
今回は当院で感染予防対策として導入しているエピオスエコシステムについて説明します。
エピオスエコシステムとは給水ユニット内、ユニットから出る水の残留塩素濃度を適切に保ち衛生的な環境で歯科治療を可能にするシステムです。
歯科治療では大量の水を使って、切削時や超音波器具を使用する際に発生する熱を冷却しています。
スケーリングや形成(型取り前に歯の形を整える処置)など、通常行うほとんどの処置が観血的なものです。(血が出る処置)
この際に使用する水は細菌の少ない綺麗なものが望ましいです。
1990年代ごろから、歯科ユニットの給水管内に形成される『バイオフィルムによる汚染』が注目されるようになりました。
バイオフィルムとは細菌が集まって形成される膜状のものです。
バイオフィルムを伴う細菌汚染がなぜ歯科ユニットの給水管内で起こってしまうのでしょうか。
考えられる原因はいくつかあります。
1つは歯科ユニットの給水系は長いため、切削器具や洗口用の水の注ぎ口までに接合部が多く経路が複雑であることです。
2つ目は診療後、一晩経つと歯科ユニットの給水系チューブ内に貯留している水の遊離残留塩素が減少してしまうことです。
歯科ユニットの汚染の原因にはもう一つ、サックバックという器械が水を吸い上げてしまう現象もあります。
日本では、平成19年に厚生労働省が設けた水質基準に関する省令によって水質管理目標設定項目に従属栄養細菌(Heterotrophic Plate Count)が追加されましたが、その目標値は、「1mlの検水で形成される集落数が2,000以下」となっています。
しかし現状では多くの歯科ユニットにおいて、水質管理目標設定項目の目標値を大幅に上回る従属栄養細菌が検出されているという報告があります。
通常使用される一般水道水は水道局によって、残留塩素濃度を必要最低限の 0.1 mg/L 以上 0.4 mg/L 以下に保つように規定されています。
エピオスエコシステムでは純水とNaCl(塩)の混合物を電気分解することで次亜塩素酸を生成します。これが水に溶け込むことで得られる次亜塩素酸水を、リアルタイムで濃度調整してユニットへ供給しています。そのため最終塩素濃度を10〜20mg/Lに維持することができ、効果的に給水系を殺菌することができます。
次亜塩素酸水は、大腸菌や黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌などの微生物に対する殺菌効果が認められ、平成15年に食品添加物として厚生労働省により指定を受けました。
人体に害がないことから、食品工場や飲食店で野菜や厨房機器の殺菌などにも広く利用されています。
当院では、患者様だけでなくスタッフも含めた歯科医院にかかわるすべての人のため衛生管理の一環として、院内で使用する「水」にこだわっています。
また、安心安全な歯科治療を提供できる水質基準を満たしている「歯科治療水安全認定施設」として登録されています。