知覚過敏
2019年09月16日
こんにちは。歯科医師の堀井です。今回は知覚過敏症についてお話します。
皆さんは冷たいものや歯ブラシをしたときに歯がしみることはありませんか?
冷たいものだけでなく甘いものがしみる場合や、治療した歯がしみてしまったり、
奥歯で硬いものを咬んだ時にピリっと感じるなど知覚過敏症にはいろいろなケースがあります。
知覚過敏症の原因は生活習慣に非常に密着しています。
炭酸飲料などの酸性飲食物の頻繁摂取や、
歯ぎしり、食いしばりによって歯に強い咬合力が加わることが、
知覚過敏症の発症、悪化、再発に大きくかかわってきます。
知覚過敏症の主な原因には
①不良なプラークコントロール(細菌の産生する酸)
②酸の過剰摂取・頻繁な嘔吐
③歯頚部実質欠損
④咬耗による象牙質露出
⑤歯ブラシによる摩耗(荒い研磨剤)
⑥歯石付着抑制歯磨剤(ピロリン酸ナトリウム)の使用
⑦その他(プール中の塩素等)
などがあげられます。
知覚過敏症は一種の生活習慣病ととらえることができます。
したがって知覚過敏の症状を改善して原因を除去するためには、生活習慣の改善が必要になる場合があります。
知覚過敏の発生機序として現在、一般に考えられているのは動水力学説という、
1890年代に窩底の液体の動きを観察したGysiの臨床報告に基づいたものです。
露出した象牙質に開口した、象牙細管の管内組織液がさまざまな刺激によって動くことで、
鋭敏となった神経終末や象牙芽細胞が興奮して痛みが生じます。
また知覚過敏発症のプロセスの一つとして
歯面へのプラークの滞留
↓
歯周病の進行
↓
歯肉退縮
↓
象牙質露出
↓
知覚過敏発症
↓
痛みによるブラッシング不良
↓
さらなるプラークの滞留
↓
歯周病・知覚過敏のさらなる進行
という悪循環があります。
知覚過敏症を改善するためにまず行うことは、口腔内を酸性状態にしないことです。
①食べたり飲んだりしたらすぐに水で口をよくゆすぐ
②食後3分以内にできれば歯を磨く
③酸性食品の習慣性摂取をやめる
等のホームケアが有効です。
食後三分ほどで口腔内は酸性に傾き、歯の表面のエナメル質が溶け出してしまう臨界pH(pH5.5)
に達します。
なので、できる限り食後早めにブラッシングを行いましょう。
ただし荒い研磨剤入りの歯磨き粉は歯を摩耗させてしまうので、
歯磨剤をつけずに磨くか、研磨剤の入っていない知覚過敏症に対応した歯磨剤を使用してください。
知覚過敏用の歯磨剤には
シュミテクトシリーズ
システマセンシティブ ソフトペースト
メルサージュヒスケア
チェックアップ ルートケア
GUM Pro’sデンタルジェル センシティブ
などがあります。
これらの知覚過敏用の歯磨剤を用いた日常的なケアは、
知覚過敏症の発症予防を含めて非常に効果的です。